この建築の特異な室内景観を作り出しているのは、部品化されたパネルや露出した構造、夥しい数の工作機械、そして各階を連続させる仕掛けとしての梯子や階段である。 梯子や階段は他の要素と絡み合って、エッシャーの描く絵のように錯綜した不思議な空間を作り出している。 しかし、それは結果としての姿であって、良く見ていくと建設過程で必要となった梯子や階段を必要な場所に作っているのが分る。この建物の殆どの部分がそうなのだが、それぞれ合理的な理由で作られているのにもかかわらず、余りの自由さに幻想的にすら見えてしまうのだ。多分、予定調和的な全体像を持たず、アイデアがアイデアを呼び、一つの構想の結果 が次の構想を生んでいった過程が「三宅栄・発明研究所」なのだろう。