三宅栄発明研究所は、大きくカーブする道路とそれよりやや小さなカーブを描く平久里川 に挟まれた土地に建設されている。平面の形は敷地の形状そのままに、道路側の外壁は道路と同じカーブを描いている。長さは約85m、道路面 から最高部までの高さは約12.5mで、4階建ての上にエレベーターの塔屋が突き出している。道路と川の水面 とのレベル差は約5m、建物全体では約17.5mの高さがあることになる。外壁廻りは鉄骨造であるが 内部は10cm角の木の柱、木の根太、板張りの床が多い。使われている鉄骨は、チェーンブロックなどを吊り下げるための梁を除けば、小さな断面 の部材で殆どはアングルと呼ばれるL型の鋼とフラットバー(平鋼)である。 屋根の殆どは亜鉛メッキをした鉄板、俗にいうブリキで葺かれている。外壁は白い塩化ビニールの小波板やブリキ、そして三宅老人がデザインしたアクリルか塩化ビニールと思われる透明板を使用した90cm角のパネルで覆われている。このパネルは量 産されていて脱着が自在である。いずれも一人の人間が施工するのに適した軽い材料が選択されている。